散らかし名人に捧げる「片付けの魔法」(???)
僕は、散らかし名人だ。
というか、元来の整理整頓下手、且つ面倒くさがり。
一昨年の11月から、仕事の都合で実家を離れ、一人暮らしを始めた。だから本来物品は少ないはず。にもかかわらず、引き出しとクローゼットは乱雑、キッチンは使いにくく、こたつの周辺にモノが散乱。「汚部屋」とまではいかない。でも、ついつい掃除をやりたくなくなるカオスぶり。床に色々ものを置いてるせいで、掃除機を掛けたくなくなるのだ。
悲しい。とても悲しい。
これじゃ、知り合いを部屋に呼べない(滋賀にはあまりいないが)。女の子を招くこともできない(チャンスないが)。デリヘル嬢を呼ぶのもためらわれる(やめておけ)。
ここは、自室の5S運動を展開せねばならない。綺麗な部屋を手に入れて、他人を招くことができる部屋にしなくてはならない。第一、部屋に帰っても心からリラックスできないのではないか。そう思った僕は、藁にもすがる思いで(大げさ)、この本を買ってみた。
書店に行けば平積みになってたり、著者がよく情報番組に出演したり、と何かと話題の本。僕は、大阪ABC「おはよう朝日です」で見かけたので、買ってみようという気になった。こんな本に手を出すあたり、僕は割と乙女チックかもしれない。
本書の主要な主張は、
- 「収納」を考える前にまず「捨てる」
- 片付けは一気にやる(毎日するものではない)
- 要るか、不要かは「ときめくかどうか」で決める(感性重視)
の3つぐらいにまとめることができるが、実は前段階がある。それは、「理想の暮らしを考える」事。それをあらかじめ考えておくべき、と言う。さもないと、闇雲に処分しても効果的でないらしい。「なぜ片付けを私用とするのか」を明確にしないと、また散らかりだすからだ(これを「片付けのリバウンド」と言うそうだ)。
著者は、不要なものを捨てると言わずに、不要なものを送り出す、という言い方をする。送り出す、卒業させる事によって、やりたいことが見つかったり、過去に整理がついたりする。
この本を読んでこの年初に、これからどんな生活をしたいのか思い巡らせることに決めた。贅沢な生活をしようとは思わないけど、それでも快適な、素敵な生活というのはあるはず。それを目指していこう。
語り口の柔らかい、ただの片付け本だと思っていたけれど、人生に、生きることに迫ってくるなかなか凄い本だ。
但し、この本に文句を言いたいところはある。
本書で提案している「衣服をたたんで縦にしまう方法」。凄くいいアイデアだと思うのに、具体的なやり方は何も解説なし。図説もなし。巻末を見る と、本書の電子書籍版の広告がある。そちらには、動画でたたみ方の解説があるらしい。ちなみに電子書籍はiPhoneなどのiOS向けだけ。アップル製品 を持ってない僕はお呼びでないですかそうですか。
書籍にCD-ROMを添付させるとか、色々方法はあったはず。サンマーク出版の不親切さに対し☆2つ減点だ。
「ときめくモノ」に囲まれた生活を送ると幸せになれると書いてある。モノを減らしていくと、個人の適正量に到達するのだという。 「カチッとポイント」に気付くのだそうだ。
ただ、どうなのだろう。僕も不要なモノはたくさん持っているはず。でも、不要品を減らしただけでは「ときめくモノ」に囲まれた生活が本当にやってこないのではないか。
本当にときめくモノを、実はまだ手に入れていないのではないか?本当に欲しいものを、物心両面で手に入れているのだろうか?